風邪の炎症の後に発症することの多い中耳の炎症で、ズキズキする激しい耳の痛み、耳だれ、難聴、耳のつまり感などの症状の他に、発熱や食欲不振などが主な症状です。
小さなお子さまでは耳の痛みを訴えずに発熱することもあり、他にも不機嫌、泣き止まないなどの症状がみられます。
風邪をひかれて汚い鼻水が続く場合、程度の差はありますが、ほとんどの方が急性中耳炎を引き起こしています。子供の場合には、耳を気にする様子が見られる時には注意が必要です。
また、痛みを訴えられない小さなお子さまは、夜泣きがいつもよりひどい、なかなか寝ようとしない、機嫌が悪いといったことが急性中耳炎の重要なサインです。
「中耳炎」とは耳の奥にいる細菌やウイルスが、耳と鼻をつなぐ「耳管(じかん)」を通って中耳に感染すると起こります。
特に、お子さまは耳管が短く、傾斜もなだらかであるため、風邪などで鼻の中にいた細菌やウイルスが中耳に到達しやすくなっています。そのために急性中耳炎は3歳までの子供の7~8割は1度はかかります。
鼓膜をみて、鼓膜が赤かったり、はれていることを確認します。また、鼓膜がその奥の中耳に膿がたまって、ふくれているのが観察できることもあります。
治療は細菌を退治する抗生剤の内服に加え、お鼻が出ている場合はお鼻の治療をします。(中耳炎の治療には、中耳とつながっているお鼻の状態を清潔にすることが重要です。)
内服後の鼓膜の変化、細菌検査の結果などを参考に、適宜、抗菌薬を変更します。耐性菌(抗生剤が効きにくい細菌)が中耳炎の原因菌と判定された場合には、点滴を行ったり、局所の洗浄などが行われます。
完全に治るまでには2~3週間程度はかかりますので、痛みが治まったからといって安心せず、確実に治すことが重要です。(寒い時期になると、鼻水が出やすくなるお子さまはもっと治療期間が長引く場合もあります。)
痛みが強く、鼓膜の腫れがひどい場合は鼓膜に少しだけ穴を開ける鼓膜切開を行い、早めに痛みをとり、症状を緩和させます。
鼓膜切開を行なった場合は2週間ほど症状が落ち着くまで通院、加療が必要です。
鼓膜切開は基本的には1歳以上のお子さまであれば、当院にて実施しています。
鼓膜は切っても傷は通常数日でふさがりますので、大抵は心配ありません。
急性中耳炎は治療が不十分だと再発したり、滲出性中耳炎になることがあるので痛みがなくなっても完全に治ったとドクターが判断するまで治療を中断しないでください!
きちんと治療をすれば、ほとんどの場合は完全に治ります。根気強く頑張りましょう!